近年わが国では情報化社会といわれる一方で、若年層から壮年層に及ぶコミュニケーション環境は、SNSの普及と共に会話を伴わない意思の伝達が増えてくるようになってきました。

また子供達を取り巻く家庭環境においては、核家族化や女性の社会進出が進むにつれ、本来コミュニケーション能力を培うべき時期に家族親族との会話が少なくなり、それに加えご近所・友人との付き合いが希薄となってきています。

一方、社会生活においては、上司と部下の関係、取引先との伝達においてコミュニケーション不足によるヒューマンエラーが発生し、目に見えない生産性の低下がうかがえます。

これらは得てして、定量化できる問題ではないために、見過ごされてきた社会的課題といえ、コミュニケーション能力は未曾有の弱体化を招いています。

 

先に示した家庭環境内における子供達への弊害として、入学・就職面接において苦戦を強いられ、自分の能力を発揮できる場面を確保できない現状があります。

その結果、入学まもない新入生の引きこもりや退学、さらに企業では新入社員の離職率が高まっていることは無関係ではないと推察されます。

一方、社会生活においてコミュニケーションの不足におけるタイムロスやミステイクにより、期待される生産性を確保できないなど、定量化できないが故、企業や組織にとって、問題の根が深いことをうかがわせます。

また最近増加しつつある外国人労働者と日本人雇用者との関係性においても、文化の違いによる行き違いを少なくするため、日本語によるコミュニケーションの重要性が高まっています。

 

この状況を憂い、かつて自然に身につけられていたコミュニケーション能力は、もはや学んで身につける時代に突入したと位置づけ、話し方を通して正しいコミュニケーション能力向上の必要性の普及を目的とし、2013年8月「日本話し方協会」を設立いたしました。

ひいては、話し方スキルアップを通して、コミュニケーション能力が向上することによって、人々の社会生活を豊かにし、人の集合体である企業や組織にとっては、その生産性向上に寄与するものと考えています。

 

日本話し方協会では、会話によるコミュニケーション能力向上の必要性を広めるべく、年間行事として「話力検定」を実施し、話力の基準概念を周知徹底することにより、人々の話し方の定性評価基準という価値創造を推進しています。

さらに、日本社会で働く多様な人材の発信力を伸ばす場所、「スピーチコンテスト」というベンチマークを提供することにより、ビジネスパーソンの能力向上に寄与していきます。